最終更新日:2026年10月6日
FXの税金は、利用した業者・取引の種類、決済損益、スワップポイント、必要経費、他の所得、過去の繰越損失によって変わります。「利益が20万円以下なら誰でも申告不要」とは限りません。最初に取引がどの課税区分に該当するかを確認します。
今回の確認範囲:2026年10月6日に、FXの課税区分、税率、2027年以後の特別所得税、給与所得者の20万円基準、損益通算、3年間の損失繰越、住民税の納付方法、申告書類を国税庁・金融庁・金融先物取引業協会・各社公式情報で確認しました。
注意:本記事は日本の居住者である個人の一般的な取扱いを説明します。法人、非居住者、事業所得に該当する取引、海外所在業者、暗号資産デリバティブ等は扱いが異なる場合があります。
先に結論
- 一定の国内FXは「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税
- 2026年分の税率は所得税・復興特別所得税・住民税の合計20.315%
- 給与所得者の20万円基準は、FXだけでなく給与・退職以外の所得合計で判定する
- 20万円以下でも、別の理由で確定申告する場合はFX所得も申告する
- 所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要な場合がある
- 損失繰越には損失年から申告し、その後も連続して付表付き申告が必要
国内FXの税率は20.315%
金融商品取引法上の市場デリバティブ取引、または第一種金融商品取引業者・登録金融機関を相手方とする店頭デリバティブ取引に該当するFXの差金等決済による所得は、他の所得と分けて「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税されます。
| 税目 | 2026年分 |
|---|---|
| 所得税 | 15% |
| 復興特別所得税 | 0.315%(所得税15%×2.1%) |
| 住民税 | 5% |
| 合計 | 20.315% |
たとえば対象となるFX所得が40万円で、繰越損失等がなければ、単純計算した税額は40万円×20.315%=8万1,260円です。実際の申告では、年間取引報告書、必要経費、他の対象先物取引、繰越損失などを反映します。
2027年分以後も合計税率は20.315%
国税庁は、2027年分以後について、復興特別所得税を基準所得税額の1.1%とし、防衛特別所得税を基準所得税額の1%とすると案内しています。FX所得に対する内訳は変わりますが、所得税15%、復興特別所得税0.165%、防衛特別所得税0.15%、住民税5%で合計20.315%です。
すべてのFX・デリバティブが同じ税制ではない
国内登録業者か、課税特例の対象取引かを確認
国内FX口座という呼び方だけで判断せず、相手方が第一種金融商品取引業者または登録金融機関か、取引が特例の対象かを確認します。金融先物取引業協会は登録業者一覧を公開しています。年間取引報告書や契約締結前交付書面にも課税上の取扱いが記載されます。
市場デリバティブ取引・店頭デリバティブ取引に該当しない差金決済の利益は、一般に雑所得として総合課税の対象です。この損失は、申告分離課税となる国内FXの所得と通算できません。いわゆる海外FX口座は、業者の所在地や日本での登録状況を含めて個別確認が必要です。
株式・投資信託・暗号資産と一括しない
国内FXの損益は、上場株式や投資信託の譲渡損益とは通算できません。商品先物、株価指数先物、対象となるCFDなど、同じ「先物取引に係る雑所得等」に該当する損益とは通算できる場合がありますが、商品名だけで決めず課税区分を確認します。
暗号資産の現物取引や暗号資産証拠金取引は、2026年10月6日時点の現行制度では国内FXと同じ申告分離課税として扱うものではありません。将来の制度改正案と施行済み制度を混同しないでください。
FXの確定申告が必要かを判定する
会社員の「20万円以下」は条件付き
給与収入2,000万円以下で、1か所から給与を受け、その給与が源泉徴収・年末調整されている人は、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下なら、原則として所得税の確定申告を要しない場合があります。
判定するのはFXの収入や利益だけではありません。FX所得に加えて、原稿料、フリマ等の課税対象所得、不動産所得など、給与・退職以外の所得を合計します。2か所以上から給与を受ける場合、給与収入が2,000万円を超える場合などは別の判定です。
また、医療費控除、寄附金控除、住宅ローン控除の初年度などで確定申告をする場合は、20万円以下のFX所得も申告書へ含めます。「20万円以下の所得を申告しなくてよい制度」ではなく、一定条件で確定申告を要しない規定だからです。
会社員以外に一律38万円基準はない
自営業者、専業主婦・主夫、学生、年金受給者などの申告要否を「FX利益38万円超」だけで判定するのは不正確です。所得の種類と合計額、基礎控除を含む所得控除、源泉徴収、他の申告要件で変わります。配偶者控除・扶養・社会保険の判定も所得税の確定申告要否とは別です。
所得税が申告不要でも住民税は別に確認
所得税の20万円以下ルールで確定申告をしない場合でも、住民税には同じ申告不要規定がありません。自治体へ住民税申告が必要か確認してください。所得税の確定申告を提出した場合は、通常、その内容が自治体へ連携されます。
FX所得の計算方法
基本は、1月1日から12月31日までの確定した取引損益と課税対象となるスワップポイント等を集計し、必要経費を差し引きます。
先物取引に係る雑所得等 = 年間の確定損益・課税対象スワップ等 - 必要経費
未決済の含み損益
一般に、年末時点で未決済の建玉の評価損益は、個人の国内FXの年間損益に含めません。ただし、スワップポイントを建玉の決済前に受け取れる業者では、その受取・振替時点で課税対象になる場合があります。業者ごとの年間損益報告書とスワップ処理を確認してください。
年末の取引は、注文した時刻ではなく業者の営業日・約定日・決済日の扱いにより対象年が変わる場合があります。複数口座を使う場合は、各社の年間取引報告書の対象期間をそろえて集計します。
年間取引報告書を口座ごとに照合する
年間取引報告書をダウンロードしたら、対象期間、氏名・口座、実現損益、スワップ損益、手数料の表示を確認します。入金額から出金額を引いただけでは、未決済建玉、追加証拠金、口座間振替、前年からの残高が混ざるため、課税所得を正しく計算できません。
複数業者を利用している場合は、業者ごとに「申告分離課税の対象」「総合課税の可能性がある取引」「株式等の別区分」に分け、その後に同一区分だけを合算します。口座を解約した年も、その口座の報告書を忘れず保存します。年間報告書が見つからない場合は、取引履歴を自己集計する前に業者のサポートへ発行方法を確認してください。
報告書の金額と自分の集計が合わない場合は、スワップの確定時期、年末の営業日、キャンペーン金の扱い、取引手数料が損益へ含まれているかを照合します。差額を理由なく調整額として入力せず、内訳が説明できる状態にします。
必要経費は自動的に全額認められるわけではない
取引手数料、入出金手数料、取引のために直接必要だった情報サービス費などは必要経費となる可能性があります。パソコン、スマートフォン、通信費、書籍、セミナー代は、支出目的、取引との直接関係、私用との区分、金額により判断が変わります。
「パソコンをFXで50%使用した」と自己申告するだけでは十分とは限りません。利用記録、領収書、契約書、支払明細を保存し、合理的な按分根拠を説明できるようにします。一定金額以上で使用期間が1年を超える機器は、購入年に全額を経費にせず減価償却が必要になる場合があります。
年間損益と税制区分も口座選びの確認項目
税率だけでなく、年間報告書、スワップの確定方法、登録状況、取引条件を公式ページで確認してください。
※広告リンクです。口座開設、取引、出金等の条件は公式サイトで確認してください。
損益通算と3年間の損失繰越
同じ課税区分の損益を通算する
複数の国内FX業者を利用し、すべてが先物取引に係る雑所得等に該当する場合は、その年の利益と損失を合算します。A社で50万円の利益、B社で20万円の損失なら、必要経費等を考慮する前の合算損益は30万円です。
通算対象はFX業者間だけではありませんが、商品先物やCFDという名称だけで対象とは判断できません。株式、投資信託、総合課税となる海外FX、暗号資産など別区分の損失を混ぜないでください。
繰越控除は損失年から連続申告が必要
通算後も先物取引に係る損失が残る場合、一定の要件を満たせば、翌年以後3年間にわたり、その後の先物取引に係る雑所得等から差し引けます。損失が発生した年に、計算明細書と繰越損失用の申告書付表を添付して確定申告します。
さらに、その後も連続して、付表を添付した確定申告書を提出する必要があります。途中に取引がない年や利益がない年があっても、繰越を維持するなら申告を続けます。「利益が出た年に過去の報告書をまとめて提出すればよい」制度ではありません。
繰越の計算例
2026年に50万円の対象損失を申告し、2027年に30万円の対象利益が出た場合は、古い損失から30万円を控除し、残り20万円を翌年へ繰り越します。2028年に40万円の対象利益が出れば、残り20万円を控除し、2028年の課税対象は20万円です。各年で必要書類を添えた連続申告が前提です。
FXの確定申告手順
- 各FX業者から対象年の年間取引報告書・年間損益報告書を取得する
- 業者・商品ごとに申告分離課税か総合課税かを分ける
- 対象となる確定損益、スワップ、必要経費を集計する
- 前年以前3年の繰越損失と連続申告の控えを確認する
- 国税庁の確定申告書等作成コーナーで「先物取引に係る雑所得等」を入力する
- 金額の計算明細書と、必要なら繰越損失用の付表を作成する
- 源泉徴収票や他の所得・控除も入力し、申告・納付する
- 申告書控え、報告書、領収書、按分根拠を保存する
確定申告の受付期間と納付期限は年により土日等の影響を受けます。「毎年必ず2月16日から3月15日」と固定せず、対象年分の国税庁「確定申告特集」で確認してください。還付申告は通常の申告期間前から提出できる場合があります。
源泉徴収されない税金を納付用に残す
国内FXの利益は、証券会社の源泉徴収あり特定口座の株式取引とは異なり、通常はFX業者が20.315%を差し引いて納税を完了させる仕組みではありません。利益を再投資したり出金したりした後でも申告・納付が必要になるため、年間損益を定期的に確認し、納税資金を取引証拠金と分けて管理します。
予定納税、振替納税、延納の可否などは個別状況で異なります。申告書作成後の納付額だけでなく、翌年度の住民税も見込み、資金を使い切らないようにしてください。
住民税と勤務先への通知
給与・公的年金等以外の所得に対する住民税は、確定申告書等作成コーナーで「特別徴収」または「自分で納付」を選択できる場合があります。FXのような給与以外の所得について自分で納付を希望する場合は、住民税に関する入力欄を確認します。
ただし、「自分で納付」を選べば副業が勤務先に必ず分からないと保証する制度ではありません。自治体の処理、他の所得、控除、会社の規程、情報の伝わり方は別問題です。住民税の取扱いは居住する自治体へ、就業規則は勤務先の規程で確認してください。
申告前チェックリスト
- 業者が国内登録業者か確認した
- 取引ごとに申告分離課税・総合課税を分けた
- 複数口座の年間損益を漏れなく集計した
- 未決済損益と確定損益を混同していない
- スワップポイントの確定時期を業者資料で確認した
- 必要経費の領収書と取引との関係を保存した
- 給与以外の所得全体で20万円基準を判定した
- 所得税が申告不要でも住民税申告を確認した
- 繰越損失がある年は連続申告と付表を確認した
- 株式や総合課税の損失を誤って通算していない
よくある質問
Q. FX利益が20万円以下なら申告不要ですか?
A. 全員ではありません。一定の給与所得者が、給与・退職以外の所得合計20万円以下などの条件を満たす場合の所得税の取扱いです。住民税は別に確認します。
Q. 医療費控除のため確定申告するとき、20万円以下のFX所得は除外できますか?
A. できません。別の理由で確定申告をする場合は、20万円以下のFX所得も含めて申告します。
Q. 海外FXも税率20.315%ですか?
A. 一律ではありません。申告分離課税の対象取引に該当しない差金決済の利益は、一般に雑所得の総合課税です。業者の登録状況と取引内容を確認してください。
Q. 未決済ポジションの含み益にも課税されますか?
A. 個人の国内FXでは一般に未決済の評価損益を年間損益に含めません。スワップを決済前に確定できる業者では扱いが異なるため年間報告書を確認します。
Q. FX損失を株式利益と相殺できますか?
A. できません。国内FXの先物取引に係る雑所得等と、株式等の譲渡所得等は課税区分が異なります。
Q. 損失年の翌年に取引しなくても申告が必要ですか?
A. 損失繰越を維持するには、その後も連続して繰越損失用付表を添付した確定申告が必要です。
Q. パソコン代は全額経費になりますか?
A. 自動的に全額経費にはなりません。取引に直接必要な部分、私用との合理的な按分、取得金額、減価償却の要否を確認します。
出典・参考資料
- 国税庁 No.1521:外国為替証拠金取引(FX)の課税関係
- 国税庁 No.1522:先物取引に係る雑所得等の課税の特例
- 国税庁 No.1523:損失の繰越控除
- 国税庁 No.1900:給与所得者で確定申告が必要な人
- 国税庁:住民税の徴収方法の選択
- 金融先物取引業協会:登録業者一覧
- 金融先物取引業協会:FX取引を行う個人投資家向け案内
- 金融庁:外国為替証拠金取引について
- DMM FX:税金と確定申告
- DMM FX:税金と確定申告の計算
- 松井証券:FXの税制・確定申告
- 松井証券:FXの税金
- JFX:確定申告について
免責事項:本記事は一般的な税制度の情報提供を目的としており、個別の税務・投資判断に関する助言ではありません。取引業者、商品、所得区分、居住地、他の所得、申告状況により扱いは異なります。国税庁、自治体、税務署または税理士へ最新情報をご確認ください。
執筆・監修:FX比較ナビ編集部
本記事は、金融庁・国税庁・各社公式サイト等の一次情報をもとに、FX比較ナビ編集部が中立的な立場で作成しています。特定の金融商品を推奨するものではありません。


